PLA樹脂の耐熱性、機械特性を決めている大きな要因の1つにD体比率があります。はじめてPLA樹脂を扱うときには実際のところ選定に困ったりすることがあります。欲しいデータがなかったり、A社ではあるデータがB社で欠けていたり、書いてある英語の説...
ガラス転移点とは?一般的に、液体を冷却すると安定な状態をとろうとして結晶をつくります。しかし様々な要因により凝固点を過ぎても結晶化が始まらないことがあります。さらに冷却されつづけると粘度が急激に増加し、ついには液体状態のまま、分子の運動が凍...
フィラメントが吸水すると糸引き、ボソボソ、強度低下、定着不良、ノズル詰まりなど不具合が起きやすくなります。条件を合わせても造形が毎回安定せず、フィラメントの状態にはずいぶん悩まされている方も多いと思います。吸水の問題は、基本はフィラメントを...
そもそも樹脂の結晶って何?樹脂は分子がとても長くつながった高分子の鎖でできています。内部構造を見ると、分子の集まり方が密な部分と疎な部分があります。おおざっぱに言うと、密な部分が結晶、疎な部分が非結晶です。結晶部分は分子が折りたたまれる構造...
PLAはあまり一般的にはなじみがない樹脂ですが、なぜ3Dプリンタでは広く使われるのでしょうか。世の中にはたくさんの種類の樹脂がありますが、その中でもPLAがよく用いられる理由は、大きくは以下の3点になるかと思います。収縮率が小さいPLAは液...
PLA樹脂開発の歴史PLAは実用化されてからまだ20年ほどで、歴史の浅い樹脂です。PLAは1930年代から研究開発が進められてきました。当時のPLAはまだ実用からは遠く、通常の室温環境下でも加水分解が進行してしまうほど不安定なものでした。ポ...
ABS樹脂成形品What Is ABS Plastic And Is It Recyclable? - Plastic CollectorsABSはスチレン系樹脂で、ポリスチレンの仲間です。古くからある樹脂で、日本では石油化学コンビナートが...
プラスチック製品の裏側に耐熱○○℃という表示をみることがあります。この耐熱温度というのは何なのでしょうか。何をもって決められていて、耐熱温度を超えるとどうなるのでしょうか?実はプラスチックの耐熱温度に対する定義はありません。用途や樹脂の種類...
PLAは生分解性プラスチックとして紹介されています。生分解という言葉を聞くと、自然環境で分解されていくことを思い浮かべますが、実は必ずしもそうではありません。PLAの分解は加水分解と微生物分解の2段階に分かれて進みます。1段階目は加水分解で...
溶剤で3Dプリント造形品を表面処理して積層痕をスムージングしたり、ノズルの詰まりを除去したりといったことが行われています。ABSの場合はアセトンが使えるのですが、PLAの場合はなかなかいい溶剤がありません。PLAを溶かす溶剤としてはジクロロ...
3Dプリンタ用フィラメントの重さ、長さ換算ツールです。2つの換算ができます。①フィラメント重さを計算材量の比重、フィラメント径、フィラメント長さを入力②フィラメント長さを計算材量の比重、フィラメント径、フィラメント重さを入力数値を入力して「...
FDMの3Dプリンタを動かしていてこんな感じにフィラメントの樹脂がもれたことはないでしょうか?ホットエンドでフィラメント樹脂がもれる理由を考えてみたいと思います。理由1 : ヒートブロックのゆるみ、組み立て不良単純ですが、ヒートブロックがど...
加水分解は文字通り水が加わってポリマーが分解していく現象です。PLAは加水分解するといわれますが、具体的に加水分解を起こすと3Dプリンタではどんなことが起こるか考えてみたいと思います。PLA樹脂は、まず植物から得られた糖質を微生物発酵によっ...
3Dプリンタの造形途中でフィラメントの色を変えたい場合があります。いくつかやり方がありますが、G-CODEを使って自動でポーズさせ、止まっている間にフィラメントを交換する方法があります。Simplify3Dで、Edit Process Se...
樹脂の押出では生産性の向上、低コスト化を実現するために速い速度で押出して加工する必要があるのですが、溶融粘度が高い樹脂の場合は生産速度を上げると押出品の表面に肌荒れが発生することがあります。この現象は重度だとメルトフラクチャ、軽度だとシャー...
NatureWorksURLhttps://www.natureworksllc.com/ブランド名Ingeo拠点アメリカPLA樹脂最大手。1997年に穀物大手カーギルと化学大手ダウ・ケミカルが100%バイオ由来原料を用いたポリマー生産を目...
原料樹脂(ナチュラル樹脂)に顔料、添加剤、他の樹脂などを混ぜ合わせ、新しい外観、物性、機能を持つ樹脂に加工することを「コンパウンド」と言います。世の中には多くのプラスチック製品がありますが、樹脂原料をそのまま成形品にしていることはあまりあり...
PLA樹脂は環境意識の高まりから、世界的に見ても年々需要が増えています。PLA樹脂はフィラメント用としては一般的ですが、他にどんなところに使われているのでしょうか。最も多くPLAが使われている用途はフィルムやシートの分野です。食品などの包装...
そもそもPETってどんな樹脂?PET(ポリエチレンテレフタレート)はエチレングリコール(EG)とテレフタル酸(TPA)を重縮合して得られる熱可塑性ポリエステルです。透明性・靭性・剛性・耐熱性などに優れています。PETボトルでおなじみの樹脂で...
FDM式の3Dプリンタは一般的なPLAやABSなどを用いると強度が不足する、耐熱性が低いなどの問題があるため、用途が限定されやすいといわれています。これらの欠点を補なうものの一つが繊維強化プラスチックです。ガラス繊維、炭素繊維などの補強効果...
近年マイクロプラスチック問題などに端を発する環境への意識の高まりがあり、使い捨てとなる石油系プラスチック代替品に対する需要が世界的に急増しています。バイオベースであるPLA樹脂が代替品の1つになりうると考えられており、商品の包装容器などへの...
樹脂のデータシートを見ていると、射出用、押出用と書いてあることがあります。これらの違いは何なのでしょうか。例えば押出用の樹脂を射出成型で使うとどうなるのでしょうか。ポリマーは多くのモノマーがつながってできている高分子です。ポリマーの分子量は...
一般にPLA樹脂は成形での扱いが難しいと言われていますが、これは成形加工だけでなく、実は前準備など取り扱いにおいても同様です。PLA樹脂は大気から水分を容易に吸収します。気温にも非常に敏感です。他の樹脂よりも乾燥、保管、搬送などには特別に気...
Direct vs Bowden extrusion. Source: 3dprinting.comフィラメントを使うFDM式の3Dプリンタはダイレクト式、ボーデン式に分類されます。どちらも加熱したホットエンドにフィラメントを押し込んで吐出...
プラスチック製品強度を上げるために、よく射出成型ではガラス繊維を添加した樹脂が使用されています。3Dプリンタでもカーボンファイバーを充填したフィラメントが使われるようになってきました。カーボンファイバーを添加すると、一般的に引張強度、曲げ弾...
3Dプリンタにおいてノズル詰まりは大敵です。造形初期ならやり直しができますが、長時間造形の途中で詰まってしまうといくら途中の出来が良くても台無しになってしまいます。何としても造形においては避けたい症状です。ノズル詰まりは様々な要因で発生しま...
樹脂ペレットはプラスチックの成形(射出成型など)で使われる原料です。樹脂と特性を改善するためのさまざまな添加剤を溶融して練り合わせたもので、粒のような形をしています。ほとんどの成型機はスクリューで樹脂を送り込みます。もし形が粒状でなく、粉の...
PLAは生分解性樹脂としてエコなイメージがありますが、実際にどのように分解していくのかはあまり知られていません。PLA分解のメカニズムについて整理してみたいと思います。PLAの生分解はどうやって起きる?https://www.tappi.o...
3Dプリンタが低価格になったことで急速に普及し、消費者向けとしても広く使われるようになってきました。それと同時に、造形中に溶融樹脂から発生する有害物質についての影響も懸念されるようになってきています。Szymon Wojtyłaらは、Is ...
FDM式の3Dプリンタで得られた造形品のアニール処理が行われることがあります。アニール前後の強度のデータを取って比較しているサイトもありますが、造形品の形状や造形条件によって大きく影響を受けることがあるためか、アニールによる変化がデータにあ...
射出成型などの成形加工において、樹脂原料の乾燥は基本中の基本です。3Dプリンタでも例外ではありません。フィラメントに水分があるといろんな悪影響がでてきます。十分な乾燥がされていない、乾燥にバラつきがある、などは造形不良の原因となります。フィ...
FDM式の3Dプリンタで悩ましい問題のひとつが「反り」です。何時間もかけて途中までうまくいったのに、ベッドからぺりっとはがれて造形が台無しになったという経験は誰もがお持ちかと思います。対策はいくつも提案されていますが、そもそもなぜ反るのかと...
市販されている導電性フィラメントは、多くが炭素系フィラーと樹脂の混合物でできています。炭素でできている物質はいろいろあります。鉛筆の芯は黒鉛で、黒鉛は電気を通すことをご存知の方もおられるかと思います。内部構造が関係しており、より結晶に近い構...
昔PLA樹脂は研究の対象にしかならなかったマイナーな存在でしたが、3Dプリンタで広く使われるようになり、地球温暖化対策での石油系樹脂代替としてニュースでも取り上げられるようになったことから少しずつ身近な存在になってきました。フィラメントの開...
FDM式3Dプリンタは要因がいくつもからみ合っていることもあり、技術的に深く理解した上で造形品質を管理するのはとても難しいことです。実際は試行錯誤して造形条件を出し、これ以上の改善が可能かどうかがよくわからないまま運用されていることが多いか...
airwolf3d.comFDM式の3Dプリンタではよく積層強度を上げることが難しいと言われます。FDMは細い溶融ビードを重ねて作っていく方法であり、どうしてもビードとビードの間に空間ができてしまうためです。強度を上げるためにどうすればいい...
LulzBot Mini Elclosure https://www.lulzbot.com/エンクロージャーは3Dプリンタにつく囲いのことです。造形エリアの熱を逃がさないようになっており、ABSのようなフィラメントでも反りやクラックを抑え...
Source : https://www.total-corbion.com/2020年もPLA樹脂は需要拡大が続きました。海外を含む化学大手メーカーはパンデミックによる経済の停滞から減産を余儀なくされるといったことも起こりましたが、PLA...
Source: https://pick3dprinter.com/3d-printer-settings/以前3Dプリンタで反りが起きるメカニズムについてご紹介しました(3Dプリンタで反りはなぜ起こる?)。お気づきの方も多いと思いますが、...
クリーニングフィラメントというものがあります。加熱してホットエンドに押し込むとノズルやバレルの汚れが取れるというものですが、どんなもので、どういう原理で汚れをとっているのでしょうか。Dyna-Purge 3D Cleanクリーニングフィラメ...
造形品の積層強度を上げるためにいくつか方法があるというのは以前ご紹介しました(造形品の積層強度は結局どうすれば上げられるのか)。その中でも一番調整が簡単なのは積層ピッチです。時間を気にしないのであれば、積層ピッチは変更しても他に悪影響が出る...
フィラメントがどのように量産で作られているか、動画をもとに紹介します。Maker Geeksはすでにメーカーとしてはなくなっていますが、フィラメントを量産する上で重要なのかうかがい知ることができます。「答えを得ても、また戻って何かを変えてみ...
3Dプリンタの条件出しの際にはスライサーで樹脂の吐出を微調整して合わせこんでいきます。ですが、そもそもフィラメントの押出量はどのようにして決まっているのかについてはスライサー任せのところが多く、実際のところはあまり知られていないようです。い...
3Dプリンタにおいて、吐出された樹脂がどういう形状で定着するかというのはとても重要です。よく言われますが、定着した樹脂のビード断面形状が丸いと造形品の内部に空隙(ボイド)ができてしまい、造形品の強度が低下します。以前に積層ピッチを小さくした...
3Dプリンタのホットエンドはファンで冷却するのが基本的な考え方です。ノズルの熱が上まで上がってくると、フィラメント全体が軟化してしまい、ホットエンド内部で座屈して押し込むことができなくなってしまいます。言葉でいうと簡単ですが、ファンで冷却す...
https://www.youtube.com/watch?v=eEOaA76WR0Q3Dプリントでは層間接着の信頼性が問題になることがあります。せっかく造形ができても実用的な強度を得ることができず、苦労している方もおられるかもしれません。...
栓流(プラグフロー、プラグ流れ:Plug flow)とは、管内断面で速度が一定、速度分布がフラットな流れのことです。円管内の壁面で完全に滑っていて、全体がそのままの形で一様に動いている流れが栓流です。栓流は隣接する流線と流線の間でせん断を伴...
3Dプリンタでは、樹脂がどう冷却されるによって造形品の強度や信頼性などが決まってきます。ところがこのあたりは様々な現象が関係しており複雑で、多くは個人の感覚に頼っています。樹脂が冷え固まるまでにどういう動きをしているか頭に入れておくと、条件...
3Dプリンタでフィラメントの溶融はFFFプロセスの中心的な要素です。ところが意外なことに、FFF式3Dプリンタが登場してから何十年も経つにもかからわず、いまだに中核となるフィラメントの溶融と樹脂流動のメカニズムについてはよくわかっていません...
3Dプリンタではノズルやバレルとフィラメントの間にはギャップがあります。ギャップの大きさは1.75mmのフィラメントで約0.2mm程度です。このギャップはフィラメントの搬送を容易にする役割をしています。ギャップがあるためにスプールからホット...
3Dプリンタでは樹脂がヒートブレイクを超えて出てくると、冷却ができなくなって詰まりになります。この樹脂がはい上がるモードの詰まりはどうやって起こるのでしょうか?先にご紹介した「3Dプリンタでのノズル内壁とフィラメントのギャップの埋まり方」の...
3Dプリンタ造形でボイド(欠陥)がどれだけ含まれるかは、条件付きであれば簡単に算出することができます。ビード形状が幾何学的に単純な長方形と円弧で成り立っていて、造形条件などは考慮しないという前提です。実際には造形条件でビード形状は影響を受け...
プラスチック製品の加工において、よく「アニール処理」という言葉がでてきます。アニールというのは日本語でいうと「焼きなまし」で、主に鋼の熱処理からきている用語です。これにならって、比較的低温でプラスチック製品を加熱する方法をアニール処理と呼ん...
3Dプリンタで飛び石の造形を行うとき、糸引きがしばしば問題になります。糸引きのメカニズムについてはっきり書かれている文献はなかなか見つかりませんが、原理から考えるとおそらく高分子鎖の絡み合いに関係するものと思われます。ノズル先端に付着した樹...
最近は3Dプリンタにおける樹脂の流れ解析でもシミュレーションが使われています。3Dプリンタはノズルの中が見えない、動きが速い、クリアランスが狭いなどの理由で直接樹脂の動きを見ることが困難ですが、シミュレーションを通して樹脂がどう流れているか...
3Dプリンタは複数の構成要素の組み合わせで成り立っており、プロセスを理解するにはまず複合要因を分解することがスタートになります。さらにプロセスは上流から順を追って考えていく必要があります。上流で起きる現象が下流や、さらにもう一段下流に影響を...
フィラメントの品質、特性、造形時の挙動は、単純に樹脂や配合だけで決まるわけではなく、そのフィラメントが水を取り込んでいる度合(=吸水率)に大きく影響されます。吸水率は、その材料を乾燥して水分が含まれていない状態(絶乾状態)から水を取り込んだ...
PLA樹脂でできた製品や造形品を実際に土に埋めて確かめてみたという方もいらっしゃるかと思います。Youtubeでもいくつかテストしてみたという動画がありますが、何年も埋めても目に見える変化が起こらなかったという内容が多いです。PLAは確かに...
PBATはポリブチレンアジペートテレフタレートの略称で、原料が石油由来の生分解性樹脂です。PBAT樹脂は1990年台にドイツのBASF社で開発が行われたことに端を発します。1998年に量産が開始され、2000年に日本でも販売が開始されていま...
各メーカーのフィラメント材料に対する融点とガラス転移点の実測データ一覧です。FFF 3D Printing in Electronic Applications: Dielectric and Thermal Properties of S...