PLAのL体とD体について

PLAニート樹脂は、主に分子量とL体/D体比率によりグレード分けされています。この2つで大まかな特性が決まり、さらに添加剤の配合によってより細かな味付けがされている形が多いようです。分子量はどの熱可塑性樹脂にも出てくるのですが、L体/D体比率は他の樹脂にはあまり出てこない概念ですので簡単に整理してみたいと思います。

 

PLAのL体とD体とは

PLAの原料である乳酸は炭素原子にそれぞれ異なる分子を持っています。この4本の腕に異なる分子が結合した炭素原子を不斉炭素といいます。三次元的には不斉炭素を中心として、立体的には結合軸が配置されるのですが、平面的には構造式が同じであっても立体的にはどう動かしても重ね合わせができないものがでてきます。これらは互いに鏡に映した関係にあるため、光学異性体と呼ばれます。PLAにはL体とD体と呼ばれる光学異性体が存在します。

 

PLAのL体はPLLA(ポリ-L-乳酸 : poly-L-lactic acid)、D体はPDLA(ポリ-D-乳酸 : poly-D-lactic acid)と呼ばれることもあります。これらはらせん構造になっており、L体とD体でらせんの向きが逆回りになっています。

 

 

PLAのD体含有量の影響

このL体とD体は構造は似ているのですが、特性が異なります。PLAでは主に機械特性の面でL体の方が優れた特性を持っています。L体のみの場合、融点が約180℃、ガラス転移温度が約60℃の結晶性樹脂になります。ただ、L体だけで構成されると脆くなり、加工性が悪いという欠点があります。このため、市販のPLA樹脂には少量のD体が含まれています。

 

PLAにD体をランダム共重合すると、柔らかい特性がでてきます。その他、結晶化度が下がり、融点は低下します。PLAの弱点である脆さをカバーできるように、加工性、機械特性、耐熱性などのバランスをうまく取ってD体含有量が決められています。
グレードによりますが、PLAのD体含有率はおよそ1~4%程度です。D体を10%以上含むと融点が明確でなくなり、結晶化しなくなります(接着剤のような軟質樹脂になります)。

 

以下はNatureWorks社のPLAグレードです。横軸がD体含有率、縦軸が分子量です。
簡単には左に行くほど硬い特性で、結晶化しやすくなり、右側にいくほど柔らかい特性で、結晶化しにくくなります。上側にいくと低流動、下に行くと高流動となります。3Dプリンタでよく使われる4043DでD体比率が4.25%、射出成型でよく使われる3001DですとD体比率1.4%です。

 

 

http://www.natureworksllc.com/~/media/Files/NatureWorks/Resources/high-performance-grades/natureworks_new-high-performance-ingeo-gradesitr2012randall_pdf.pdf?la=en

 

第二世代ポリ乳酸

最近はD体比率を0.5%以下としたグレードの開発が盛んにおこなわれています。2013年にNatureWorksからHPグレード(2500 HP、3100HP、3260HP)が上市され、用途拡大が進んでいます。結晶化度が従来グレード比で3~4倍に高められており、荷重たわみ温度を140℃程度まで向上したものもあります。結晶化が早く、射出成形で長いサイクルタイムを必要としないため、生産性が高まるメリットもあります。このように%D≦0.5%としたPLAは第二世代ポリ乳酸と呼ばれています。

 

L体とD体の重合でこんなにPLAの種類がある

上で記載したとおり、L体とD体の重合の違いでPLAは大きく特性がかわります。
PLAは他にも重合の仕方によって様々な種類があります。まとめたのが下の表です。

 

PLLAとPDLAを混合するとらせんが組み合わさって230℃の融点を持つステレオコンプレックスPLAができます。L体とD体がブロック共重合したものがステレオブロックPLAです。この2つは研究段階のPLAです。

 

一般に使われるPLAは成形用PLAの欄の記載した2点で、PLLAに少しだけD体が入った共重合体になっています。D体比率により結晶性、融点、物性などが変わります。一番下のPDLLAは何をしても結晶化しないアモルファスのPLAです。柔らかい特性を活かしてコーティング、接着用などとして使われます。

 

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