開発・実験記事一覧

PLAの普及を阻んでいる要因の一つに結晶化速度の遅さがあります。PLAは非結晶樹脂ですが、ガラス転移点以上の温度で加熱することで結晶化させることができます。結晶化すれば耐熱性、耐衝撃性があり、他の汎用樹脂同様、普段使いの用途に使える十分な特性を持っています。しかし、PLA結晶化は金型内などで高温で長時間保持する必要があり、量産ベースではとても採算に合いません。PLA結晶化はよく研究テーマとしてあが...

PLAの脆さの改善の一つとして、違う樹脂を混ぜてブレンドする方法があります。軟質樹脂を混ぜることで、硬いPLAが柔らかくなります。身近にあるやわらかいものでは、ゴムがすぐに思いつきます。ただし、単純に輪ゴムに代表されるような天然ゴムとPLAを混ぜても、逆にもろくなってしまいます。違う樹脂同士を混ぜても、すぐに分離してしまい、目で見て混ざっているようでも実際は分離していることがあります。水と油を混ぜ...

コンパウンド検討で物性面からはPLA/PBSはPLAより改善効果があることがわかったので、実際にPLA/PBSペレットをフィラメントに引いて、3Dプリントしてみることにしました。PLA/PBS フィラメント加工PLA/PBSペレットを押出機に投入してフィラメントに加工します。フィラメント加工中のノズル付近の様子。テストで押し出してみて一番最初に気づいたのはダイスウェルで、ノズル径より製品径が太くな...

プラスチックの成形加工では樹脂の事前乾燥は必須です。乾燥しないと水分が水蒸気ガスになり、成型品の外観が悪くなったり、流動性が悪くなったりします。数あるプラスチックの中でも、PLAは吸水に対してかなり敏感であると言われています。PLA成形加工において吸水のコントロールは非常に重要で、PLAメーカーのデータシートを見ると、一般の樹脂より気を払うよう注意書きがあったりします。3Dプリンタにおいても樹脂の...

フィラメントは長期間大気に触れると吸水してしまい、造形時にブツブツになったり、ノズルが詰まったりします。【PLA吸水率検討参照】一旦吸水してしまったフィラメントを何とか復活する方法はないかということで実験しました。フィラメント乾燥機の作り方安価なフードドライヤーを利用して、フィラメント乾燥機を作ります。調達したフードドライヤー。\3,980円。直径23.5cm、高さ22.8cm。1kg巻きのスプー...

PLAニート樹脂は、主に分子量とL体/D体比率によりグレード分けされています。この2つで大まかな特性が決まり、さらに添加剤の配合によってより細かな味付けがされている形が多いようです。分子量はどの熱可塑性樹脂にも出てくるのですが、L体/D体比率は他の樹脂にはあまり出てこない概念ですので簡単に整理してみたいと思います。PLAのL体とD体とはPLAの原料である乳酸は炭素原子にそれぞれ異なる分子を持ってい...

かねてからほしいと思っていた耐熱剛性PLAを手に入れました。耐熱160℃、耐衝撃PLA比4倍、成形収縮がPLA比1/2!スペックだけ見ると3Dプリント用には最強のPLAです。これはぜひ3Dプリントしてみたい!ということでフィラメントに引いて造形してみました。ペレットをフィラメントに加工耐熱PLAのペレット。吸水を防ぐため紙袋とアルミ袋の二重梱包になっています。耐熱PLAペレットを取り出した様子。外...

PLAは一般的に塗料との相性が良くないといわれています。実際に塗装密着性について調べてみました。前に作った耐熱剛性PLA(フィラー充填)がどうなのか、ふと気になりましたので、一般のPLAと、耐熱剛性PLAで比較してみました。PLA塗装品 碁盤目密着テープ剥離評価試験方法100マス碁盤目密着テープ剥離造形条件100% infill造形品最表面(t=1.0mm , 200℃造形)塗料アクリル系黒塗料(...

樹脂全般に言えることですが、特にPLAはわずかでも水分が残っていると押出加工した際に不具合が起きやすいです。フィラメントの加工中に、あやまって乾燥が不十分なペレットを追加投入してしまったのが下の写真です。押出機からの吐出が急に不安定になり、しばらくした後パチッと音がしたので異変に気付きました。フィラメントを見ると、中に気泡が入っていたり、外周が曇っていたりしていました。また、フィラメント径が急に暴...

LXP1、LCT37F、LFY3Mなどのフィラメントでの造形品は加熱処理を行うことで耐熱性を向上させることができます。一般PLAは耐熱約55度で、これを超えると軟化して形状が崩れてしまいますが、アニール処理を行った造形品は高温下でも形状を保持できます。品種によっては耐衝撃性、曲げ強度などを向上させることもできます。必要なもの家庭用オーブン100度近辺の温度調節ができ、庫内温度が均一になるものオーブ...

これまで色がついていないベース樹脂ばかりフィラメントを作ってきたのですが、加工条件が確立してきてフィラメント径も安定してきました。そこで、次のステップとしてフィラメントに色をつけてみることにしました。樹脂の着色方法大きく分けて樹脂に着色する方法は3つあります。ドライカラー樹脂に顔料の粉をまぶして投入する方法。顔料さえあればできるので一番安価。任意に色合いを調整できる。顔料の粉が加工機に付着するので...

前から試してみたかったことの一つに3Dプリント樹脂型での射出成型があります。ある時、グルーガンを使って簡易の人力射出成型をやっている動画を見かけました。いくつか動画があったのですが、アルミ金型かアクリル切削型を使っていました。もしかしてアクリルでも成り立っているのであれば、3Dプリント樹脂型でも可能なんじゃないかと考えました。幸い自前で作れる耐熱PLAがあり、温度的にも使えそうです。直接3Dプリン...

3Dプリントモールドでの射出成型がうまくいき、だいたい理屈がわかってきたので次のステップとしてインサート成形にチャレンジしました。インサート成形とは、金型内に金属部品をセットし、金型に樹脂を注入することで金属と樹脂が一体になった部品を作る方法です。身の回りではケーブルやコネクタでよく見かけます。家電製品を分解すると樹脂に金属が埋め込まれたようなパーツがでてきますが、これもインサート成形の製品です。...

スプールがないタイプのフィラメント(フィラメントコイル)をセットして使うためのマスタースプールのデータです。Simple Filament Master Spool v23Dプリンタですべて造形できるマスタースプールです。小さいプリンタ用(造形エリア105mm x 105mm以上で造形可)https://www.thingiverse.com/thing:3060559大きいプリンタ用(造形エリア...

LFY3Mを型として使う際に思いついたものの1つに低融点金属の鋳造があります。LFY3Mは耐熱140℃となっていますが、これは荷重たわみ温度としての数値で、荷重がかからない鋳造ならPLAの融点である160℃近くまで耐えられます。理屈上はいけそうですが、本当に実現できるかやってみました。低融点合金 クラフトアロイについてクラフトアロイは150℃で溶ける低融点合金です。主成分はスズ(Sn)とビスマス(...