PETG樹脂とは? PETGとPETの違い

そもそもPETってどんな樹脂?

PET(ポリエチレンテレフタレート)はエチレングリコール(EG)とテレフタル酸(TPA)を重縮合して得られる熱可塑性ポリエステルです。透明性・靭性・剛性・耐熱性などに優れています。PETボトルでおなじみの樹脂です。

 

PETは結晶化速度が遅いため、当初は成形材料としての普及が遅れました。材としての易結晶化グレードの開発と、プロセスがキーになる延伸技術両方が確立したことで結晶化した製品が安定して作られるようになり、用途が拡大していった樹脂です。少し乱暴な言い方をすると、ある意味樹脂の特性に頼ればそれなりのものが成形できてしまう汎用樹脂と異なり、PETは材とプロセス技術の両方がないと成形が成り立ちません。このあたりのすり合わせや使いこなしは日本のお家芸的なところがあり、いまだPETフィルムなどは日本メーカーでないと作れないグレードもあるようです。

 

PETGとPETの違い

PETは加工方法によって、C-PET(結晶性ポリエチレンテレフタレート)とA-PET(非晶性ポリエチレンテレフタレート)の2種類を得ることができます。ざっくり言うと、溶融状態から徐冷するとC-PET、急冷するとA-PETになります。C-PETは結晶化した部分の分子が規則正しく配列し、密度が高くなっています。このため高い強度・耐熱性があります。一方でA-PETは衝撃強度が高く、曲げ加工などが容易という特徴を持っています。

 

A-PETはしなりやすく、柔軟であることから塩化ビニルの代用品として使われてきました。身の回りでいうと、クレジットカード、キャッシュカードなどに使われていることがあります。今は改めて見直されている面もありますが、塩化ビニル樹脂はダイオキシンや塩ビモノマーなど環境・安全面での影響が懸念されており、当時他樹脂への代替が進みました。燃やしても有害ガスが発生しないということもあり、代替品としてA-PETが使われだした経緯があります。

 

ところがA-PETについても課題がありました。A-PETは長期間の使用や熱履歴で非晶部分がゆっくりと結晶化し、経時変化を起こすことがあります。密度変化により内部応力を生じてポリマー鎖を切断するため、柔軟性、耐衝撃性、強度などが低下していく場合があることがわかってきました。そこで、PET樹脂中のEGの30〜40%程度をシクロエヘキサンンジメタノールで置き換えたポリマーが考え出されました。これがG-PETです(Glycol-modified PET : グリコール変性ポリエチレンテレフタレート)。PETGと記載されることもあります。PETGは成形加工時でもポリマーが結晶化しません。完全にガラス化した樹脂で、非晶性樹脂としての扱いになっています。A-PETが製造方法で非晶化を実現しているのに対し、PETGはPET樹脂を改質することで非晶化を実現しているという形になります。

 

中にはPETGがPET樹脂の高強度品として紹介されているサイトがありますが、あまり正確な表現ではありません。耐衝撃など結果的にPET樹脂より上回っている特性もありますが、元来は非晶化を目的として開発された樹脂という位置づけです。

 

PETGのシート

PETGのシート

 

PETG樹脂の特徴

PET樹脂は単独重合タイプが融点260℃、共重合タイプが融点220〜240℃くらいですが、PETGは非晶性樹脂のため融点がありません。だいたい200℃くらいから流動するようになるため成形加工は220〜240℃くらいの温度域で行われることが多いようです。PETGは透明な肉厚成型品や板物を作るときにもよく使われます。通常のPET樹脂では肉厚製品の場合は冷却速度がゆっくりになるため結晶ができ、不透明になってしまい外観が悪くなりますが、PETGだと肉厚でも透明性の高い、ガラスライクな製品が得られます。

 

PETGのボトル

PETGのボトル

 

PETGの耐衝撃性はアクリルの4〜5倍で、ポリカーボネートに近い耐衝撃性があります。光学的にも優れており、アクリル並みの透明性を持っています。曲げても割れが起きにくく、印刷がしやすいこともあり、スーパーなどにあるプライスカードホルダ、機械部品のカバーなどにも使われています。PETGは耐候性が低く、紫外線により劣化が進行しやすいため、著しい機械特性の低下、色調の変化などが生じます。そのため屋外で長期間使用する用途にはあまり使われていません。

 

PETGのプライスカードホルダ

PETGのプライスカードホルダ